第1部 第6章

alice

レメス砂漠

エリオル達一行は、ピラミッドを後にして再び砂漠を歩き続けていた。地下遺跡での煉獄の使途との戦いで、皆、憔悴しきっていた。そこに無情にも降り注ぐ砂漠の日差しと熱気である。ぼーっとしてしまうほどの意識の中で、アヌビスの言っていた言葉が、エリオルの頭の中でぐるぐると回り続けていた。

≪魂の形が歪だな…≫

≪欠片を背負いし者よ…≫

また、アヌビスは、エリオル達にユグドラシルの信頼を勝ち得てみよと言い、その時にこうも言った。

≪かつて、あの男がそうしたようにな。≫

あの時、アヌビスは、はっきりとエリオルのほうを見て言っていた。あの男というのは誰なのだろう、そしてその人は、僕とどういう関係があるのだろう。疑問は次から次へと浮かんできて、エリオルの頭の中はパンク寸前であった。

「、……リオル」

ふいに、誰かに名前を呼ばれた。

「エリオル、大丈夫……?」

声をかけていたのはアリスであった。

エリオルは身体に力を入れ、頭をはっきりさせて答えた。

「うん……、大丈夫だよアリス。ちょっと考え事をしていただけだから。」

「考え事?」

「うん、アヌビスの言っていた……」

そこまで言って、エリオルは少し躊躇った。アヌビスの言う通り、自分が何か特殊な存在であったなら、これまで通りにアリスと接することができなくなるのではと、ふいに恐怖に襲われたのだ。

そこでエリオルは、代わりにこう答えた。

「アヌビスの言っていた "原初の世界" って、どういうことなんだろうね?」

アリスも頷いた。

「そうだね。現世とピュルガトワールがひとつの世界だったなんて、私も初めて聞いたよ?義母さまだったら、何か知っているのかな……」

「アヌビスは、ユグドラシルに聞くといいって言っていたけど……」

「ユグドラシルって、 "世界樹" ユグドラシルのことだよね。 "聖域都市クレテイユ" のシンボルでもある……。私たちなんかが、世界樹からお言葉をもらえるのかな。」

「難しいかもしれないわね。」

いつの間にか隣に来ていたセティアが話に割り込んできた。

「世界樹ユグドラシルの言葉を聴けるのは、クレテイユでも最高位の神官だけって言われているわ。いきなり訪ねていって聴けるものでもないわよ。」

「そうだよね……」

アリスが顔を俯かせた。

「でも、」とセティアは続ける。

「ユグドラシルは、見込みのある者には試練を課すと言われているの。『信頼を勝ち得よ』ってアヌビスが言っていたのは、そのことだと思うわ。」

「まあ、並大抵の試練じゃないでしょうけどね。」

セティアは最後にそう言うと、らくだの歩を進めて先に行ってしまった。

ルーアン

あたりは再び日が傾き、朝から移動し続けた一同は、ついにレメス砂漠を越えることができた。そのままルーアンの宿屋で一夜を明かし、翌朝、トーマとはお別れとなった。

「じゃあな、お前さん達。楽しかったぜ。」

そう言うと、トーマは街の奥に去っていった。さっそく商売の取引があるらしい。

ルーアンは自然に囲まれた美しい街のようであった。街の南のジャングルで取れる色とりどりの果物が市場に並んでいた。

「うまそうだな……」

思わずジェラルドが声に出した。

「そうね。いくつか買って朝食にしましょうか。」

めずらしくセティアがジェラルドに同意した。


新鮮な果物で、朝食を済ませた一同は、街の集会所に向かった

集会所に着くなり、一人の青年が声をかけてきた。整った顔立ちに、エルフ特有の長い耳。スラッとした長身で、鍛え上げられた身体をしていた。

「あなた達が、アリスさんとそのご友人、そして護衛の方々ですね。」

そう言うと、アリス達に向き直り、改めて名乗った。

「中央都市のシェイル市長より、お話は伺っております。エルフの里と外界との連絡役をさせていただいているデュークと申します。族長カルナスに代わり、里まで皆様をご案内させていただきます。」

「ご丁寧にどうもありがとうございます。道中よろしくお願いします。」

フォルトが答え、頭を下げた。

対するデュークは、丁寧な物腰のまま、やや冷たい表情で言った。

「本来ならば、 エルフの里に人間の方々を招くのはタブーですが、今回は中央都市市長の直々の使いということで、特別にお招きした次第です。」

そして、目線を露骨にセティアに向けて続けた。

「まあ、それでも招かれざるお客様もいるようですが……」

「っ!……」

セティアが表情を強張らせる。

アリスが少しムッとして言った。

「あの、どういう意味ですか? そんな言い方をしなくても……」

「いいの……。 いいの、アリス! あたしは……」

そういうとセティアは顔を背けて、吐き出すように言った。

「あたしは……、ハーフエルフだから……」

「セティア……」

珍しく覇気の無いセティアの物言いに、アリスは余計に不安になる。

そんなアリス達を尻目に、デュークは「では、行きましょうか。」と一言だけ言うと歩き出して行ってしまった。

しかたなくそのまま着いていく一同。

デュークは街の南の出口から出て、森に入っていった。

ジャングル

パーティー
HP攻撃防御魔防習得
エリオル
(Lv50)
1230030001600500
アリス
(Lv50)
104008004001600
ジェラルド
(Lv50)
1350028001600300
セティア
(Lv50)
1070010004001200
フォルト
(Lv50)
117001900800800
敵データ
  • マンイーター
  • マンドラゴラ
  •   
  • 属性:無属性  HP:5,600

    攻撃力:3,200  防御力:200  魔法防御力:200

    移動力:4  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,200
    吸血 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,200 + 与ダメージの100%分HP吸収
    ツタ 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,200 + 50%の確率でスタン
      
  • 属性:無属性  HP:6,400

    攻撃力:3,400  防御力:300  魔法防御力:300

    移動力:4  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,400
    睡眠花粉 3 円範囲(自身中心:3マス)に 無属性の物理ダメージ3,000 + 20%の確率で睡眠
      

「この先の丘に、飛竜を待たせてあります。里まではすぐに着くでしょう。」

「なあ、フォルト、 "飛竜" って何だ?」

ジェラルドがフォルトに尋ねた。

「小型のドラゴンの一種さ。エルフの眷属でもあるんだ。」

「その通りです。」

デュークが話に入ってきた。

「飛竜の声を聴き、飛竜を操れるのは、純血のエルフの証です。半端者のハーフエルフには真似できません。」

そう言うと、またセティアのほうを冷たい目で見るのであった。

デュークは再び先に立って歩き出した。それを確認してからアリスがこっそりセティアに耳打ちした。

「なんだか感じの悪い人だね……。ハーフエルフであることがそんなにいけないことなの……?」

「エルフにとってはね……」

セティアが悲しげに答えた。アリスは、こんなにしおらしいセティアは初めて見ると思い、なんだかとても悲しい気持ちになった。

「着きました。」

気がつくと、デュークが立ち止まり振り返っていた。一行はジャングルの奥地の丘に辿り着いた。丘には、2体の飛竜が羽を休めていた。

アリスは、小型のドラゴンと聞いてもっと荒々しい姿を想像していたが、実際はとても大人しそうであった。

「では、私が操る飛竜にアリスさんとエリオルさんを……。セティアは、フォルトさんとジェラルドさんを乗せてあげなさい。」

そして、鼻で笑うように付け足した。

「できますか? まあ、そちらの飛竜も、私の命令を聞いて飛ぶだけですから、あなたがミスをしなければ何の心配もありませんが……」

「なっ!!」

セティアは怒りと恥ずかしさで真っ赤になった。

「では、行きましょう。」

デュークはセティアの反応など気にもせず、準備をはじめた。

ジャングル上空/腐海との境周辺

「地上には、この辺りから腐海が広がっています。エルフの里は腐海の先にあるので、飛竜を操れない者は近づくことすらできません。」

「まあ、戦役時の煉獄の使徒のように、腐海をものともせずに乗り込んできた者共もおりますが…… 」

「それより……、」

そう言ってセティアの乗る飛竜のほうへ目をやると、呆れたように言った。

「いつまで、そんなふらふらと飛んでいるつもりですか?」

「うるさいわね! これでも一生懸命やってるわよ!!」

皮肉を隠しもせずに表に出すデュークに、さすがにセティアも苛立っているようだった。それを見てデュークは満足そうに続ける。

「まあ、所詮は "ハーフエルフ" であるということでしょうね。」

「っ~~!!」

羞恥の色に染まるセティアを見て、なおも満足気なデュークであった。

エルフの里

2匹の飛竜は、まもなくエルフの里の外れに到着した。

「おい、大丈夫か? セティア……。」

見かねたジェラルドが声をかける。

「当たり前よ……、これくらいどうってことないわ……」

「そうは言うけど、お前……、すごい汗だぞ。」

その時、前にいたデュークが情け容赦なく声をかけた。

「ここから里まで、半時ほど歩きます。休んでいる暇はありませんよ。」

「そういうこと。いいから、あたしには構わないで……」

心配そうな皆の視線を受けながら、セティアはデュークに続いて歩き出した。


しばらく進むと、森の中にぽつんと一軒の家が見えた。

「こんなところに一軒だけ、家? もう、里には近いのですか?」

「いえ……、その家は……」

エリオルの問いにデュークが答えるより早く、家の扉が開き、ひとりの少女が飛び出してきた。

少女は、最初少し驚いた様子をみせたが、すぐにトテトテと近くにいたセティアに駆け寄った。

「こんにちは! お姉さん、お名前は? どこから来たの?」

「ええ……こんにちは……、あたしはセティアよ。教会都市トゥールから来たの……。あなたのお名前は?」

セティアの問いかけに少女は嬉しそうに答え、再び尋ねた。

「わたしはサニー。じゃあ、セティアお姉ちゃんって呼んでいい?」

「え、ええ……いいわよ……。」

最初は面食らっていたセティアも、次第に、慈しむような目でサニーを見るようになり、小さく呟いた。

「そう……あなたもそうなのね……。」

そして、サニーの手を優しく包み、問いかけた。

「あなたは、今、幸せ? 里のやつらに意地悪とかされてない?」

それに対し、サニーはきょとんとしてから、にっこりと答えた。

「幸せだよ~。里の人たちはわたしには構ってくれないけど、わたしにはお母さんがいるから!」

「そう。」

セティアは少しだけ、ホッとした顔をした。

「お母さんはすごいんだよ! いつも優しくて、おいしいパイも焼いてくれるの!」

「そう、良かった。いいお母さんと一緒なのね。」

その時、再び家の扉が開き、サニーの母親らしき人物がこちらへやってきた。

「す、すみません、皆さん……。この子、誰彼かまわず話しかけてしまって……」

「エリス。」

デュークがサニーの母親に話しかけた。

「娘はちゃんとしつけておきなさい。その子は、里の者に対してもその調子で話しかけるのですから……」

「本当にすみません……」

サニーは謝る母親の後ろに隠れ、顔だけこちらを伺っていた。

ふいに、セティアの目がサニーの目と合った。

「セティアお姉ちゃん! また会えるかな?」

「ええ、きっとね……」

セティアはそれだけ言うと、小さく手を振った。


エリスとサニーの家からしばらく歩き、一同は里の近くまで来ていた。

ふいに、デュークが口を開いた。

「ハーフエルフは、里では忌み子として扱われます。エリスは人間との間に子をもうけたために、里の外れで他の者と関わらないように暮らしているのです。」

そして、何事も無かったかのように続けた。

「さあ、里に着きました。すぐに族長の元に案内しましょう。」


エルフの族長カルナスは厳格な人物であった。デュークに案内された一同は、あいさつもそこそこに用件を尋ねられた。アリスが代表して、シェイル市長からの書状を渡すと、カルナスは難しい顔で書状に目を通し始めた。

そして、

「ならん。」

一言、重々しい声で呟いた。

「お主ら、ここまで来たのはご苦労であったが、無駄足であったな。明日の朝には里を出るがいい。ルーアンまでの案内はデュークにさせよう」

「ま、待ってください……!」

アリスが慌てたように言った。

「その、シェイル市長へのご返事は……」

「ふむ。申し出には答えられない、そう伝えなさい。」

「そう、ですか……」

アリスは見るからに意気消沈していた。

見かねたフォルトが口を挟んだ。

「差し出がましいようですが、理由をお聞かせ願えますか。」

「…………」

カルナスは深く押し黙った。やがて口を開き、有無を言わせぬ声音でこう言った。

「エルフと人間が手を取り合う時代は終わったのだ」

「それに、……」と付け加える。

「わしらは、今ほかに、対処せねばならぬ問題があるのでな。」

「それはいったい?」

フォルトの問いをデュークが遮った。

「皆さん、お話はここまでです。族長がおっしゃったとおり、シェイル市長には返事をお伝えください。明日の朝には里を出ます。今夜は特別に里で一夜を明かすことを許可します。ただし、里の中を不躾にうろつくような真似は、決してしないように。」

そして、デュークは族長に一礼すると、

「それでは、お泊まりいただく部屋まで案内します。」

そのまま、外へ皆を促した。

アリスたちは、カルナスに頭を下げ、族長の家を後にした。


その夜――――

「なんだよ、こんな里の端っこの方に案内されるなんてな」

ジェラルドが不満そうに言った。

「あたしが居るからでしょうね……」

セティアが小さく言った。ジェラルドは気まずそうに謝った。

「悪い。おまえのせいじゃねえよ。」

「それにしても、断られちゃうなんて……。シェイル市長は何を提案したんだろう。」

アリスは自分のせいで依頼を断られたかのように落ち込んでいた。

フォルトが答えた。

「おそらく、エルフ族と人間の交流を深めようとしたんだろうね。ひいては、煉獄の使途と戦う上での協力を求めたというところかな。ただ、カルナス族長の言っていた、今ほかに対処しなければならないことというのが気にかかるけれど……。」

皆、考え込むように押し黙ってしまった。すると、エリオルが声をあげた。

「ねえ、みんな、なにか聴こえない?」

耳を澄ます一同。

「この声、昼間会ったエリスさんだわ!」

言うが早いか、セティアは部屋の外へ飛び出した。遅れて皆もあとに続く。

外に出たセティアは、すぐに、走ってくるエリスを見つけ声をかけた。

「エリスさん! いったいどうしたの?」

「皆さんは、昼間の……。あのっ、サニーが、サニーがっ!」

「落ち着いて! サニーに何かあったの?」

エリスは一拍おいて、答えた。

「メリルに拐われたの……!」

「メリル?」

皆が怪訝そうな顔をしていると、エリスが説明を加えた。

「腐海の廃墟を住み処にしている煉獄の使徒です、聖王戦役の折にこの里を襲った……」

「!!」

「お願い! このことを早くカルナス族長に伝えてください! 早く、早くあの子を助けないと……」

「分かったわ。一緒に族長のところに行きましょう!」

そして、ふらつくエリスをセティアが支えながら、族長の元に急ぐのであった。


族長の家まで辿り着くと、カルナス族長がデュークに連れられて姿を現した。

デュークが声を上げた。

「何事です、騒々しい!」

「カルナス族長! 娘が、サニーが、メリルに拐われたんです!」

エリスが族長に懇願する。

「どうか、あの子をお助けください!」

「なんと……」

デュークが呟き、カルナスの顔を伺う。

カルナスは、しばらく目を閉じて考え込んでいたが、やがて口を開き、こう言った。

「それは、できん……」

「な、なぜですか!? カルナス族長!」

セティアがカルナスを問い詰める。

周りには、いつの間にか里のエルフたちも集まってきていた。

「メリルだって? まだこの里を狙ってたのか?」

「でも、ハーフエルフの娘を拐っていっただけだそうじゃないか……。」

「それなら、放っておくべきだ! これ以上里から犠牲を出すわけにはいかん。」

「そうだ! ハーフエルフの娘を助けに行く必要なんてない!」

「そ、そんな……」

信じられないといった表情で、アリスが周りを見回す。

そして、カルナスが重々しく口を開いた。

「聞いたであろう、皆の声を……。すまぬが、サニーを助けるためだけに里の者を遣わすわけにはいかん。」

そして、セティアたちのほうを向いて、言葉を付け足した。

「わしらもメリルを討伐しようと、何度も里の屈強な男たちを腐海の廃墟に向かわせた。だが奴は、妖しげな術で男たちを魅了し、彼らは同士討ちの果てに命を落とした……。聖王戦役以降、こちらから手を出さなければ、メリルが里を襲うことはなかった。だから、ハーフエルフのために里を危険にさらすわけにはいかんのだ。」

「馬鹿じゃないの!? 煉獄の使徒に好き勝手させて黙っているっていうの?」

セティアは怒りのあまり言葉を選んでいられなかった。

「エルフの里はいつから腰抜けの集まりになったの!!?」

里の者たちも黙ってはいなかった。

「黙れ、ハーフエルフの小娘が!」

「よそ者のお前に何がわかる!」

「災厄を呼び込む忌み子め!」

容赦のない言葉がセティアに浴びせかけられる。

「…………分かったわよ。」

セティアが地獄の底から這い出るような声で呟いた。

「もう、あんたたちには頼まない!! あたし独りでも、サニーを助けに行くわ!!」

セティアの宣言に対し、カルナスは一言だけ答えた。

「勝手にするがいい……」

腐海

パーティー
HP攻撃防御魔防習得
エリオル
(Lv50)
1230030001600500
アリス
(Lv50)
104008004001600
ジェラルド
(Lv50)
1350028001600300
セティア
(Lv50)
1070010004001200
フォルト
(Lv50)
117001900800800
敵データ
  • ゲルビースト
  • マギゴースト
  • ラフレシア
  • ラッフルツリー
  • 属性:無属性  HP:7,100

    攻撃力:3,400  防御力:600  魔法防御力:200

    移動力:3  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,400
    溶解液 5 円範囲(対象中心:3マス)に 無属性の物理ダメージ3,400 + 防御力200ダウン
  • 属性:無属性  HP:5,000

    攻撃力:3,000  防御力:6,000  魔法防御力:0

    移動力:6  攻撃射程:2

      
    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,000
    ストーム 10 円範囲(対象中心:5マス)に 風属性の魔法ダメージ2,500
    レイニング ALL 敵全体に 水属性の魔法ダメージ2,000
  • 属性:無属性  HP:10,200

    攻撃力:4,000  防御力:400  魔法防御力:400

    移動力:4  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ4,000
    暗闇花粉 3 円範囲(自身中心:3マス)に 無属性の物理ダメージ3,400 + 20%の確率で暗闇
    睡眠花粉 3 円範囲(自身中心:3マス)に 無属性の物理ダメージ3,400 + 20%の確率で睡眠
  • 属性:無属性  HP:41,500

    攻撃力:4,400  防御力:800  魔法防御力:400

    移動力:2  攻撃射程:4

    技名 射程 効果
    通常攻撃 4 単体に 無属性の物理ダメージ4,400
    ポイゾナスブロウ 7 円範囲(対象中心:5マス)に 無属性の物理ダメージ4,000 + 50%の確率で毒
    ラッフルボム 5 円範囲(自身中心:5マス)に 無属性の物理ダメージ5,000 + 吹き飛ばし5マス
    養分吸収 7 円範囲(自身中心:7マス)に 無属性の物理ダメージ3,200 + 与ダメージの50%分HP吸収

「おい、待てよセティア! メリルってやつがどこにいるのかも分からないんだろ!?」

ジェラルドがセティアを引き留める。

「うるさいわよ! あんたたちも関係ないんだから、あいつらと一緒に里に残っていればいいわ!」

「なんだよ、そんな言い方ないだろ!   って、アリス……おい、どうしたんだよ……?」

アリスはゆっくりとセティアに向かって歩いていった。前髪に隠れて、セティアからはアリスの表情は見えなかった。

「なによ、アリス……、あんたもあいつらと……」

『パンッ!』

「!?」

アリスが、セティアを平手で叩いたのだ。

「な、なな……何するのよ!?」

「黙りなさい、セティア!」

「!」

「ア、アリス……?」

「エリオルも、黙ってて……」

アリスの声は、めずらしく怒りをはらんでいた。

「セティア……、私たち仲間でしょう?」

「あたしは、あんたたちの、ただの護衛よ……。あたしの事情で、あんたたちを危険な目になんて遭わせられないわ。」

「それ、本気で言っているんだとしたら、私、本当に怒るよ……。」

アリスはセティアの目を真っ直ぐ見て言った。

「もう一度言うよ? 私たち仲間でしょう? 初めからそうでなかったとしても、今までの旅でほんとの仲間になれたと思ってた……。それなのに、セティアが困っているときに、私たちがあなたを放っておけると本気で思ってるの?」

「アリス……」

セティアは驚いた目でアリスを見た。

「そうだよ、セティア」

アリスの後ろからエリオルが声をかける。

「僕たちだって、セティアの力になれるはずさ」

ジェラルドとフォルトも頷いて答えた。

「あんたたち……」

セティアの表情は、しだいに驚きから恥じらいに変わっていった。そして、

「分かったわ……。お願い、みんな……、サニーを助けるために力を貸して!」

「おう、当たり前だろ!」

ぐっと親指を上げるジェラルド。アリスがにっこりと微笑んでセティアの手を取り、エリオルは、ほっとしたように息を吐いた。

「さて、問題はメリルの居場所だけど……。」

フォルトが最大の問題を指摘した。

「それについては心配ありません。私が案内します。」

突然、後ろから声がかかり、驚く一同。いつのまにかデュークが皆の側までやってきていた。

「あんた、なんでここに……?」

驚いたように尋ねるセティア。

「誤解の無きように。族長たちの命ではありません。私が個人的に、メリルの討伐を望んでいるだけです。」

そして、呆れたように付け足した。

「それにしても、まったく、飛竜も使わずに腐海を探索しようとしたのですか。そもそも、メリルの正確な居場所も知らないでしょうに……」

「し、しょうがないでしょ……あいつら誰もサニーを助けに行こうとしないんだもの!」

「里には里の都合があるのです。とにかく、今回は私がたまたま、勝手に協力するだけです。里の外れに昼間の飛竜が繋いであります。急ぎましょう。」

デュークの後に皆も続いた。途中、セティアがアリスに囁いた。

「アリス、あんたちょっとアイリーン様に似てきたんじゃない?」

「そうかな。」

アリスは微笑んで返した。


一同はデュークと共に、飛竜に乗って腐海の上空を西に進んでいた。

「廃墟といっても、もとは立派な遺跡でした。今は朽ち果てて、メリルの住み処になっていますが……」

しばらく飛ぶと、デュークが言った。

「これ以上、飛竜で近づくとメリルに気づかれてしまいます。付近に洞窟があるので、ひとまずそこへ飛竜を降ろしましょう。」

デュークが命じ、飛竜は2匹とも洞窟の入口に降り立った。

「ここで、夜が明けるのを待ち、メリルの元に向かいます。」

デュークの方針にセティアは反論した。

「何言ってるの!こうしている間にもサニーは……」

「夜間にこれ以上近づくのは危険です。明るくなるのを待ちます。それに、体を休めないと、万全の状態で戦いを挑めません。」

「っ…………!」

セティアは納得がいかないようだったが、しぶしぶ承知した。

「夜明けまでしばしあります。腐海では体力の消耗が激しいですから、仮眠をとっておいてください。

そう言うと、デュークは一人だけ洞窟の奥の方に腰を下ろした。

仕方なく、セティアも身体を休める。アリス達もそれにならった。

「セティアは、メリルっていう煉獄の使徒を知っているの?」

誰からともなくエリオルが尋ねた。

「知っているも何も…………。あたしの両親を殺した張本人よ。」

「!?」

驚く皆に対して、セティアはいたって冷静であった。

「まさか、まだエルフの里の近くに居たなんてね……。」

アリスがおずおずと尋ねる。

「じゃあ、セティアは、お父さんとお母さんの仇をとるために?」

「その気持ちが無いと言えば嘘になるわ……。あたしは一度あいつを目の前にして逃げてしまったから……」

「逃げた……?」

「ちょっと、長い話になるわよ……。まあ、夜明けまでずいぶんと時間もあるしね。」

そう言うと、セティアは語り始めた。

15年前~セティアの回想~

「はぁ……、はぁっ……」

セティアは森の中を走っていた。

「お父さん……お母さん……」

セティアの両親は、すぐに帰るからとセティアに言って、ルーアンの街を後にした。

母オルレアは言っていた。

「今、街の外は危ないの。ここから出ては駄目よ、セティア。大丈夫、お母さん達は必ず戻ってくるわ。」

二人は努めて平静を装って街を後にした。

だが、セティアは分かっていた。2人は、エルフの里に向かった煉獄の使徒を止めに行ったのだと。

それがどんなに危険なことだか分からないほどセティアも子供ではない。

「お父さん……お母さん……、お願い、無事で居て!」

二人が街を出てから既にそれなりの時間が経っている。セティアはすぐに後を追わなかった自分を呪った。

ハーフエルフであるセティアにも母譲りのエルフの力は多少なりとも受け継がれていた。森の声を聞きつつ、二人の進んだ道を辿る。どうやらだんだん近づくことができているようだった。

しかし、それは、二人が使徒と交戦状態に入ったであろうことも意味していた。

「急がないと……!」

セティアは走り続けた。仮に戦いの場に出くわしたとして、セティアの戦力では足手まといになるだけである。しかし、今のセティアにそんなことを考えるだけの余裕は無かった。

父と母が遠くに行ってしまう。もしかしたら死んでしまうかもしれない……

そう考えると、じっとなどしていられないのであった。

しばらく進んでいくと、じきに争うような音が森の先から聞こえてきた。

「もう少しだ……。二人とも無事でいて……」

セティアは二人の無事を願いながら森を駆け抜けた。そして、広く開けた場所に出ると、ついに探し求めていた姿を目にすることができた。

母の後ろ姿、そして、母に向き合ってこちらを向いている父の姿。遠すぎて父の顔は見えなかった。

「お父さ……」

最後まで言葉を発することができなかった。セティアの目に映ったのは、父ロランが母オルレアを短剣で刺し貫く瞬間であった。

「っ!?」

思わず立ち尽くすセティア。

あまりのショックに体が動かせず、すぐにでも叫び出しそうになりながらも、喉の奥から声すら出てこなかった。

そんな中、オルレアは痛みに体を震わせながらも、しっかりとロランを抱き締め、優しい声で言った。

「ロラン……愛しているわ……。どうか、セティアを……」

そう言い、刺し貫かれながら、ロランを静かに抱き締める。徐々にその手から力が無くなっていき、ロランを優しく抱き止めたまま、オルレアは息絶えた。

その時、セティアには初めてロランの顔が見えた。空虚だった瞳に色が戻り、小さく震えながら、目からは涙をこぼしていた。

「な、そんな……。オルレア……! 僕が君を……!?」

正気に戻ったロランが、驚愕の表情で自分を抱き止めるオルレアを見つめた。

「あら、魅了が解けたのね。」

冷たく無慈悲な言葉を投げ掛けたのは、女性の姿をした煉獄の使徒。戦いのさなかにロランに魅了の術式をかけ、味方同士で争わせ、自らは高見の見物を決め込んでいたらしい。

一方、ロランには、もはや使徒の相手をする心の余裕など残っていなかった。愛する人を自らの手で殺めてしまった責。逃れられない罪の意識と後悔がロランの心を苛む。

「僕は……! 僕がっ! すまない……、オルレア……。」

そう言い、静かに自らの喉に短剣を突き立てた。

「僕も今、君の元に……。」

ロランはオルレアの腕の中で自ら命を絶った。

残されたのは、未だ余力の残る使徒と、無力なセティア。

セティアとて、ハーフエルフとしての魔力で、多少なりとも魔法を使うことはできる。戦えば、一矢むくいることもできたかもしれない。

しかし、セティアはショックから立ち直れずにいた。

「お父さん……、お母さんっ……何で……」

声を震わせ、呆然と立ち尽くすセティア。

セティアの存在に気付いた使徒が、目線をセティアへと移した。

「ふふっ、お馬鹿なお嬢さん。お父さんと、お母さんに、わざわざ着いてきちゃったのかしら?」

情の欠片も無い声で、使徒は言葉を紡ぐ。

「いいわ、あなたも殺してあげる……」

使徒の手に高濃度の魔力が凝縮される。そのままセティアに向けて、魔力による無慈悲な一撃が放たれた。

腐海

「わたしがはっきり覚えているのはそこまでよ……。その後は、誰か優しい大人に助けられて、その人に連れられてレメス砂漠を越えたらしいわ。そして、中央都市ロレーヌで私はアイリーン様に預けられた。アイリーン様は、戦時中だというのに、心神喪失状態だった私を手厚く保護してくれたそうよ。」

「私の話はここまで。明日に備えて眠るわよ。」

そう言ってセティアは、有無を言わせず寝床に入っていってしまった。

「…………」

残りの皆も、黙って眠りに着くのであった。

洞窟の奥では、デュークが静かに寝息をたてていた。


深夜――――――

「あの子も、お母さんと離れて不安でしょうね……」

「ごめんね、アリス。それでも、あたしはやっぱり……」


翌朝、デュークの声で一同は起こされた。

「セティアの姿がありません。どうやら、独りで使徒の元に乗り込んだようですね。」

その事実に、一番ショックを受けたのはアリスであった。

「そんな、セティア……、私たちだって仲間だって言ったのに…………なんで、ひとりで!」

アリスが思わず顔を両手で覆う。

エリオルも慌てて声をあげた。

「デュークさん! 早くセティアを追わないと!」

「分かっています。彼女に抜け駆けはさせません。メリルは、わたしが討伐します。」

急かすエリオルに対し、デュークは静かに言った。セティアの身を案じているというよりは、メリルの討伐をセティアに奪われることに焦りと怒りを感じているようだった。

「デュークさんは、どうしてそこまでメリルを……?」

「当然ですが、あのサニーというハーフエルフのためではありません。」

「言うならば、私自身のけじめのためです。」

「けじめ、ですか?」

「皆さんは、昨日、セティアから何か聞いたのではありませんか?」

エリオル達は、セティアから聞いた話をデュークに伝えた。

デュークはしばしの間、何かを考える仕草をし、すぐに頷いて答えた。

「そうですか……。彼女は覚えていないのですね。そのほうが都合がいい。感謝などされたら困りますからね。」

「あの時、彼女を助けたのは私です。私はオルレアの、 "生涯でただひとり愛した" 女性の、願いを聞き入れただけです。それについて、あのハーフエルフの娘がどう思おうと、私には興味はありません。」

「愛した女性……。あなたは、セティアの母親を……?」

フォルトが問いかける。

「ええ、ずっと慕っていました。私とオルレアは幼馴染みだった。オルレアが人間の男と結ばれた時も、その人間との間に子をもうけた時も、私のオルレアへの気持ちは変わらなかった。オルレアが私に振り向いてくれることはないと分かっていようとも……!」

「デュークさん……」

アリスは、何と声をかけたらいいのか分からないようだった。

「あの日私は、単身、里へ向かっている使徒を追っていました。その際に、先にオルレアたちが使徒を止めに向かったことを知ったのです」

15年前~デュークの回想~

「愚かな……たった二人で使徒に立ち向かうなど……。」

「やはり人間などにオルレアを任せてはおけません。私がオルレアを守らねば!」

ルーアンで聞いた話によれば、使徒はルーアンの街には興味を示さず、街の南西を目指していたという。

「狙いはエルフの里ということですか……」

ジャングルを駆け抜け、腐海との境辺りまで来ると、デュークは立ち止まった。

「ようやく追い付きましたか……」

「しかし、この臭いは……!」

赤錆のようなねっとりとした感覚。血。まぎれもない血の臭いに辺りは満ちていた。

そして、開けた場所に出る。そこで、デュークが目にしたものは。

「こ、これはっ……!」

そこには、目を背けたくなるような凄惨な光景が広がっていた。

オルレアに抱き止められたまま、自らに刃を突き立てているロラン。そして、オルレアの方も深い傷を負っていた。遠目にも、二人とも、すでに息絶えていることが分かった。

「そんな……! 私はっ! 間に合わなかったというのですか!」

「くっ、オルレア……なぜ……」

オルレアの遺体に近づこうとして初めて、二人を殺害したであろう煉獄の使徒が目に入った。

翼を生やした女性の姿。たやすく男性を魅了するであろう妖艶な雰囲気を持つ存在であった。

「あなたが……、あなたがオルレアを……!」

そう言い、使徒に殺意を向けるデューク。

ところが、使徒はデュークのほうなど見ていなかった。

使徒が妖艶な瞳で値踏みするように見つめていたのは、両親の死体を前に呆然と立ち尽くす一人の少女。

「!?  オルレアと、あの人間の子どもですか……。なぜ、こんなところに。」

その時、初めて使徒が口を開いた。

「ふふっ、お馬鹿なお嬢さん。お父さんと、お母さんに、わざわざ着いてきちゃったのかしら?」

「いいわ、あなたも殺してあげる……」

使徒の手に高濃度の魔力が凝縮される。狙いを付けられた少女の方は、呆然としたまま、逃げ出す様子もない。

その様子を見ていたデュークの頭の中に、ひとつの古いやり取りが思い起こされた。


「デューク、わたしとロランの身に何かあったときは、どうかあの子を……」

「オルレア、馬鹿なことを言わないでください。そもそも、あなたの身に何かあることなど、私には許容できません。」

「デューク……、こんなことを頼めるのはあなたしか居ないの。」

「私が愛しているのは、オルレア、あなただけです。人間との間にあなたがもうけた子のことまで、私は関与しません。」

「デューク、お願い……」

「私は……」


気づけば体が先に動いていた。使徒から放たれた魔力は、少女との間で、デュークに防がれていた。

「あら、まだ私と遊んでくれる人がいたのね。」

使徒は、邪魔されたことに大して興味も示さず、新たな相手が現れたことを喜んでいるかのようであった。

対するデュークは、使徒に背を向け、まだ意識の朦朧としているセティアを抱き抱えると、オルレアの願いに対する答えを口にした。

「私は……、あなたの願いに答えます……」

そのまま、デュークはセティアを抱え、ルーアンへと引き返した。

残された使徒は、妖艶な微笑を浮かべたまま、気だるげに呟いた。

「あら、つまらない。獲物をふたつも失うなんて……。まあ、いいわ。」

そう言うと、使徒は再び、エルフの里へと歩を向けたのであった。

腐海

語り終えると、デュークはふっとため息を吐いた。

「セティアがあなた方に語ったように、私はセティアを連れて中央都市ロレーヌに向かいました。衰弱したセティアを連れてレメス砂漠を越えるのが危険であるのは承知でしたが、聖王戦役の最中、一番安全であるのは、大陸最大の都市であり、多くの戦力が集中するあの街だと判断したのです。」

そしてすぐに吐き捨てるように言った。

「オルレアとの約束が無ければ、私は迷わずメリルをその場で討ち滅ぼしていたでしょうがね……」

デュークは再び遠い目をしながら語り始めた。

「私はオルレアとの約束と引き換えに、里の者たちをみすみす危険にさらしました。もう里に戻ることも叶わぬだろうと思い、中央都市ロレーヌにてエルフの陣に赴きました。戦場で使徒らと刺し違えて死を選ぶつもりでした。」

そこで一息つき、悔しそうに言った。

「だが、私は戦役を生き延びてしまった。情けない話です。死ぬ覚悟すら私には無かったのかも知れません。」

「セティアは、後の聖王教会教皇アイリーン殿のもとで快方に向かっていました。ハーフエルフの娘を預けるのに、エルフの仲間を頼ることは無理な話でした。その点で、私はアイリーン教皇に深く感謝をしています。そして、そこでの人間との接点を買われ、こともあろうかカルナス族長は私を許し、エルフと人間の間を取り持つ役目を与えたのです。」

「里に戻った私は、オルレアとロランをルーランの墓地に埋葬し、弔いました。彼女らをエルフの里で弔うことはできなかったのです。あの二人は里を守ろうとして命を落としたというのに……。」

そう言うデュークは、拳を固く握りしめ、本当に悔しそうであった。

「さあ、この先の廃墟がメリルの住み処です。皆さん、どうか気を引き締めてください。」

「セティアのやつ、大丈夫かな……。」

ジェラルドの口から思わず弱気な言葉が零れた。

「大丈夫でしょう。男性でなければ魅了の術式にかかることもありません。それに、彼女とて、今は教会騎士の実力者なのでしょうしね。」

「ずいぶんと、セティアの力を買っているのですね。」

アリスの問いに、デュークは冷たく言う。

「勘違いしないでください。セティアでは、やられはせずとも、時間稼ぎにしかなりません。その間に私たちが追い付けばいいだけのことです。」

そう言うデュークは、とても複雑な表情をしていた。

朽ちた遺跡(腐海の廃墟)

パーティー
HP攻撃防御魔防習得
エリオル
(Lv50)
1230030001600500バインドエッジ、クイックチャージ
アリス
(Lv50)
104008004001600レイニング、ストーム
ジェラルド
(Lv50)
1350028001600300ブレイブアックス、ブレイカーボム
セティア
(Lv50)
1070010004001200バーニングフォース、クエイクスフィア、サンダースフィア
フォルト
(Lv50)
117001900800800スノウフォール、フロストバイト
敵データ
  • オーガバトラー
  • オーガメイジ
  • イエロースライム
  • グリーンドラゴン
  • 属性:無属性  HP:8,400

    攻撃力:4,200  防御力:500  魔法防御力:300

    移動力:5  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ4,200
    粉砕撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ4,200 + 100%の確率でスタン
    フルブレイク 2 単体に 無属性の物理ダメージ5,000
    ※このダメージは防御力により軽減されない。
  • 属性:無属性  HP:7,800

    攻撃力:3,600  防御力:300  魔法防御力:500

    移動力:5  攻撃射程:10

    技名 射程 効果
    通常攻撃 10 単体に 無属性の魔法ダメージ3,600
    ファイアストーム ALL 単全体に 火属性の魔法ダメージ3,000
    アイシクルランサー 10 直線範囲(幅:5マス)に 氷属性の魔法ダメージ4,000 + 20%の確率で凍結
    キュア 10 水属性 魔法:単体のHPを4,000回復
  • 属性:雷属性  HP:6,200

    攻撃力:3,200  防御力:1,500  魔法防御力:0

    移動力:3  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 雷属性の物理ダメージ3,200
    電撃 5 単体に 雷属性の物理ダメージ3,600 + 50%の確率でマヒ
    溶解液 5 円範囲(対象中心:3マス)に 無属性の物理ダメージ3,200 + 防御力200ダウン
  • 属性:無属性  HP:88,000

    攻撃力:5,000  防御力:1,200  魔法防御力:800

    移動力:6  攻撃射程:3

    技名 射程 効果
    通常攻撃 3 単体に 無属性の物理ダメージ5,000
    ドラゴンファング 3 単体に 無属性の物理ダメージ9,000 + 攻撃力200ダウン
    ぶちかまし 7 直線範囲(幅:5マス)に 無属性の物理ダメージ6,000 + 吹き飛ばし5マス + 対象方向へ移動7マス
    毒霧 ALL 敵全体に 50%の確率で毒
    ミュートポイズン 2 単体に 100%の確率で毒 + 100%の確率でマヒ

一方、その頃、腐海の廃墟にて――――

セティアはようやくサニーを見つけ出していた。だが……、

「サニー、あなたその姿……」

セティアの前に立ちふさがるサニーは、髪は真っ白に、肌は褐色に、すっかり変わり果ててしまっていた。表情はなく、ただ正面にいるセティアを虚ろな瞳で見つめていた。

サニーの後ろに控えるメリルが、誇らしげに語り出した。

「素敵でしょう? 私がこの子を生まれ変わらせてあげたのよ。ハーフエルフとして生まれ持った魔力の素養を増幅して、破壊の力を振りかざすだけのダークエルフとしてね。」

そして残酷な笑みを浮かべながら言った。

「この子を虐げてきたエルフたちを、この子の力で殲滅するなんて、わくわくすると思わない?」

「…………いわよ……」

「……ん? 何かしら?」

「ふざっけんじゃないわよ!!!」

「!!」

激しい怒りをあらわにしながら、セティアはメリルに向かって声を荒げた。

「サニーは、この子は、エルフの皆を恨んでなんかいなかった!!  あんなに……、あんなにも優しくて素直な子を、あんたの欲望を満たすためだけのおもちゃにするなんて……、この私が許さない!!」

メリルはセティアの反応に対し、つまらなそうに呟いた。

「そう……。なら、この子の最初の獲物はあなたね」

そう言うと、サニーに指示を出した。

「さあ、あなたと同じ "ハーフエルフ" のお姉さんを、その手でこらしめてあげなさい。」

そして、心の底から楽しそうに笑い声をあげた。


サニーが生み出す闇の風が、セティアの動きを鈍らせる。

「っ……!  お願い、サニー……、正気に戻って!!」

セティアの願いも届かず、サニーは刃のような風でセティアを苦しめる。

後ろで見ていたメリルが退屈そうに言った。

「つまらないわ。そろそろ、とどめをさしてあげなさい。」

メリルの言葉に、サニーが頷く。闇の風が凝縮され、カマイタチのようにセティアに襲いかかる。

「サニー、みんな……、ごめん……」

次の瞬間、セティアが目を開くと、誰かが身を呈してセティアをかばっていた。その大きな背中に既視感を覚える。

「デューク……」

「まったく、無鉄砲は親譲りですか……! 少しは、あなたを心配する仲間たちの気持ちになりなさい!」

「助けに来て、なんて…………、言ってないわよ……。」

それに対してデュークは答えない。代わりに、アリスに鋭く指示を出す。

「アリスさん、あの少女の生み出す風をあなたの風魔法で緩和させてください。そうしないと、まともに身動きもとれません。」

「わ、分かりました!」

アリスが慌てて答え、魔力を集中させる。次第にサニーの風が中和されていき、セティアは体を動かせるようになった。

「アリス……、みんな……」

ばつの悪そうな顔をするセティアに、デュークが言う。

「なぜ、あなたもオルレアも、自らだけですべて背負おうとするのです……。仲間の力を借りることは恥ではありません!」

そんなデュークにセティアは語りかける。

「ねえ、デューク……、あんたなんでしょ。15年前、私を助けたのは。」

「…………」

沈黙を肯定と捉え、セティアは続けた。

「感謝なんて、しないからね……」

「無論です。そんなもの、私も望んでいません。」

デュークはきっぱりと答えた。

「いきますよ、みなさん。サニーを無力化します。メリルを倒せば、彼女を元の姿に戻せるはずです。」

セティアはサニーのほうを見て申し訳なさそうに言った。

「サニー……少しの間、我慢してね……」

その時、無表情なままのサニーの口から言葉が漏れた。

「セティ、ア、……お姉ちゃん……」

「……!」

確かに、サニーの口からセティアの名前が出た。それは、母を呼ぶ子どもの声のようだった。

「サニー……! 待ってなさい、サニー。今、あなたを止めてあげる……。あなたは、こんなこと望んでいないものね……」

セティアが優しく呟き、再びサニーに対峙した。

Boss戦

サニー(ダークエルフ)

属性:闇属性  HP:89,600

攻撃力:4,000  防御力:0  魔法防御力:0

移動力:10  攻撃射程:10

技名 射程 効果
通常攻撃 10 単体に 闇属性の魔法ダメージ4,000
アビスウィンド ALL 敵全体に 闇属性の魔法ダメージ7,500 + 100%の確率で毒 + 素早さダウン(大)
※開幕に一回のみ使用する(先制)
常闇の風 ALL 闇属性 魔法:敵全体に 素早さダウン(小)
4ターン目に使用、以後3ターンごとに使用。
クイックチャージ 時属性 魔法:自身に 素早さアップ(小)
ライフスティール 10 円範囲(対象中心:5マス)に 風属性の魔法ダメージ2,000 + 与ダメージの50%分HP吸収
サイクロン ALL 敵全体に 風属性の魔法ダメージ3,000
『セティアお姉ちゃん……』 1ターン何もしない。

サニーがふらりとよろめき、それをセティアが抱き止める。

「サニー!大丈夫!?」

横に来たデュークが静かに言う。

「消耗は激しいようですが、命に別状はないでしょう。寝かせておいてあげなさい。目が覚めたときには、悪い夢から覚めているでしょう。そのためにも……」

「ええ……」

答えるセティアの目はメリルへの怒りで燃え上がっていた。そして、そばに居たアリスたちでさえ凍りつきそうな声で言った。

「……絶対に許さない……」

それに対し、メリルは相変わらず気だるげに、言葉を口にした。

「あら……、本当につまらないわね。こうなったら、あなたたちに新しいおもちゃになってもらわないとね。」

Boss戦

メリル

属性:風属性  HP:136,900

攻撃力:5,000  防御力:400  魔法防御力:1200

移動力:8  攻撃射程:10

技名 射程 効果
【テンプテーションタッチ】 10 ※特殊能力
自身のターン開始時に、範囲内の敵(男性ユニット)1体に20%の確率で魅了
通常攻撃 10 単体に 風属性の魔法ダメージ5,000
烈風撃 ランダムで敵3体に 風属性の物理ダメージ5,500
エアリアルエッジ 7 単体に 風属性の物理ダメージ7,500
テンペスト ALL 敵全体に 風属性の物理ダメージ4,000 + フィールド中心に吸い寄せ
風が渦巻いている…… 次の自身のターンに『サイクロン』を使用する。
サイクロン ALL 敵全体に 風属性の魔法ダメージ9,000
魂魄召喚 「ウィスプ」を2体召喚する。

ウィスプ

属性:風属性  HP:15,000

攻撃力:2,000  防御力:200  魔法防御力:800

移動力:10  攻撃射程:10

技名 射程 効果
サクション 10 単体に 風属性の魔法ダメージ2,000 + 与ダメージの200%分HP吸収
プラズマ 10 単体に 雷属性の魔法ダメージ2,000 + 魔法防御200ダウン

「はっ!!!」

デュークの双剣が、メリルの翼を切り飛ばした。メリルが平衡感覚を失い、地面に倒れ伏す。

「嘘、でしょう……? この私が、エルフや人間なんかにっ……」

「その傲慢さが、あなたの弱みです。覚悟なさい……あなたは業が深すぎる」

「…………、ふふっ。」

「何がおかしいのです。」

「…… 『テンプテーションタッチ』……!!!」

「む……!?」

メリルから半透明の "手" が伸び、それは実態を持たないのか、そのままデュークの体の中へ入り込み、心臓に達した。

「こ、これは……」

ーーーーー『テンプテーションタッチ』
数々のエルフの猛者たちを魅了し、操った、メリルの得意技である。

「デューク!!!」

慌てて、セティアが駆け寄る。

メリルが体を起こし、デュークに命じた。

「さあ、エルフのお兄さん……。私の代わりに、あなたがあの子達を殺しなさい……」

「ぐっ、あっぁあ!」

苦しみながら双剣をセティアに向けるデューク。

「セ、ティア……。」

「デューク! しっかりしなさいよ!!」

「ふふっ……、ははははは!」

「あら、魅了が強すぎておかしくなっちゃったのかしら?」

メリルが、面白いおもちゃを見つけたかのような目でデュークを見た。

そして、デュークはそのまま双剣を突き立てた。

――――――そう、自らの身体に

「!?」

「オルレアから、セティアを守るよう頼まれた私に! オルレアの願いに、誓いを立てた私に! セティアを、殺せと!?」

「馬鹿にしないでください!!!」

「私のオルレアへの愛は、その程度で揺らぐものではない!!!」

メリルは、驚愕の表情でデュークを見て言った。

「なっ! 痛みで正気を取り戻したというの!?」

「デューク、あんた……、何でそこまでして……、あたしを守ろうとするの!?」

「ふん、何度も言いますが、あなたのためではありません。私は、ただ永久にオルレアを愛している。オルレアとの約束だけは! 絶対に守って見せる……」

そこまで言うと、デュークは苦痛に身をかがめた。

「分かった! 分かったから!! もう黙ってて!! 傷が広がっちゃうわよ……。あんたに死なれたら私はどうすればいいのよ!!!」

「セティア……、これを……」

「これは……、父さんの短剣……」

「そう、ロランの得物です。メリルのせいであなたの人生を狂わせたこの短剣で……、すべてに終止符を打ってください……」

「そう、オルレアと、ロランと、私と、そしてあなたの想いを乗せたこの剣で、」

「メリルを討つのです。」

「…………分かったわ。」

短剣を手にしたセティアは、静かにメリルの前に立った。

「あたし、あんたに同情するわ。あんたは本当の愛なんて1度も知らずに死んでいく……。哀れね……」

「やめて……。やめて! やめなさい!! 私を哀れんだ目で見るのは!!!」

そしてメリルは、今度は小さく呟き始めた。

「私は、美しいの……。 本当の愛……? そんなもの、私にはいらないわ……。 だって私は美しいんだから……」

セティアは無表情のまま……

「そう。」

「じゃあ……、」

「さようなら。」

セティアが言葉と共に、ゆっくりとメリルに短剣を突き立てた。

セティアの煉獄の使徒への憎しみが、これですべて晴らされたわけではない。だが、永き妄執の日々にひとつの区切りが訪れた。セティアはその手で両親の仇をとったのだった。

「セティア!!」

サニーを抱き抱えたアリスと、その後ろをエリオルとジェラルドが駆け寄ってくる。

向こうではフォルトが、デュークの傷を治療していた。

無表情だったセティアの顔が、サニーを見るなり、優しくほころんでいった。

サニーは、髪も肌も元の色に戻っており、身体にも怪我はなかった。

「ぅ、ん……」

サニーが目を覚ました。

「セティア、お姉ちゃん……?」

「大丈夫? サニー?」

とたんにサニーは、ボロボロと目から大粒の涙をこぼし始めた。

「セティアお姉ちゃん……、わたし怖い夢を見たの……」

サニーは続ける。

「わたしが悪いことをしたから、セティアお姉ちゃんがすごく怒って、わたしを嫌いになって……」

セティアは、サニーを優しく抱き締めた。

「サニー、怖かったわね……。あたしはあなたを嫌いになったりしないわ。悪い夢はもう終わったのよ……。さあ、お母さんのところに帰りましょう。」

「お姉ちゃん……、セティアお姉ちゃん~!!!」

セティアはサニーが泣き止むまで、まるで母のようにサニーを抱き締めていた。

エルフの里

里の者たちは、大怪我をして帰ってきたデュークを見て驚いた。しかし、それよりも、デュークの口から語られた事実―――メリルが再び里の襲撃を企てていたこと、セティアたちの手によってそれが未然に防がれ、メリルが討伐されたこと―――それらが、里のエルフたちを驚かせた。

メリルを討伐したセティアたちは、一転、里の英雄として担ぎ上げられた。

「まったく、どいつもこいつも調子がいいんだから!」

セティアは悪態をついていたが、まんざらでもなさそうだった。

この騒ぎは、すぐに族長の耳にも入ることとなり、デュークを含めた一同は、カルナスの元に招集されることになった。

開口一番、カルナスは素直に例を言った。

「人間の諸君、そしてセティアとデュークも……、お前たちには例を言わねばならんな。メリルとの永き因縁に終止符を打ってくれたこと、本当に感謝する。」

「あたしは、サニーを助けたかっただけよ……」

セティアは素っ気なく言った。

続いてデュークが、カルナスに頭を下げた。

「族長、此度の件、私の身勝手をお許しください。」

「それはよい……。こうして、すべて丸く収まったのだからな。しかし、デューク……、お主は未だオルレアのことを……」

「はい。この身が朽ち果てるまで……」

「そうか……」

そこで、カルナスは話題を変え、アリスに話しかけた。

「アイリーン殿の義娘(むすめ)よ。市長への返事は訂正させてもらおう。「来たるべき日には、我らは必ず力を貸すだろう。」そう伝えてくれ。

「は、はいっ!」

アリスは、驚きながらも嬉しそうに答えた。

続いてデュークが進言した。

「では、族長、私は彼らをルーアンまで送っていきます。」

「デューク、お主はまだ傷が癒えていないだろう……見送りは他の者に任せてはどうだ?」

「いえ、まだひとつ仕事が残っていますので。」

「そうか。」

カルナスは、納得したように頷いた。

「それでは、失礼します。」

デュークが頭を下げ部屋を出ていく。他の皆もそれにならう。

「待ちなさい、セティア……」

ふいに、カルナスがセティアを呼び止めた。

「わしらは、ハーフエルフを、人間との間の子だという理由だけで忌み子として扱ってきた。わしは、それが里の秩序を守ることに繋がると信じ、そうしてきた。だが、それが間違いだったのかもしれんと、お主らに気付かされた。」

カルナスは遠い目をしながら、しかし力強く言った。

「わしらの時代には無理であっても、先の世に必ずハーフエルフが認められる時代が来るであろう。その礎を築いたのは他でもない、セティア、お主じゃ……。」

「カルナス族長……」

セティアは複雑な表情で族長に答えた。

「 "ハーフエルフである" あたしは、まだ、族長たちのことを手放しで許すことはできないわ……。」

そして、今度は少し微笑みながら言った。

「でも、サニーを見てると……、そんな世の中が、エルフとハーフエルフが分け隔てなく接することができる世の中が来ることを、信じることができるの。」

セティアは最後にはっきりと言った。

「本当の礎はあの子よ。」

ルーアン

一同は再びルーアンまで帰ってきた。

「デューク殿、ご案内感謝します。本当にお世話になりました。」

それに対しデュークは、

「皆さん、最後に1ヶ所だけ、皆さんを案内したいところがあります。」

そう言うと、街の外れへ歩いていった。


「ここって……」

そこは、墓地の一角であった。

「そう、オルレアとロランの墓です。」

「お母さん……、お父さん……」

セティアは墓に向かって、膝をついた。

デュークが言う。

「皆さん、私たちは席を外しましょう。」

アリスたちは、両親の墓の前で涙するセティアを残し、墓地の外で待つことにした。

歩き始めたデュークをセティアが呼び止めた。そして、聞こえるか聞こえないかというほどの小さな声で言った。

「デューク……ありがとう……」

「ふん……、聞こえませんね。」

そう言うデュークの口元には優しい笑みが浮かんでいた。

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