第1部 第5章

alice

サントラル平原

パーティー
HP攻撃防御魔防習得
エリオル
(Lv40)
1000025001300400
アリス
(Lv40)
84007003001300
ジェラルド
(Lv40)
1100023001300200
セティア
(Lv40)
87008005001000
フォルト
(Lv40)
92001600600600
敵データ
  • ハーピィー
  • キラースコーピオン
  • ガルダウィング
  •   
  • 属性:風属性  HP:4,600

    攻撃力:2,800  防御力:200  魔法防御力:200

    移動力:7  攻撃射程:3

    技名 射程 効果
    通常攻撃 3 単体に 無属性の物理ダメージ2,800
    クレイジーハウル 5 単体に 無属性の物理ダメージ3,000 + 50%の確率で混乱
    トルネード 5 円範囲(地点中心:5マス) 風属性の魔法ダメージ2,400 + 円範囲中心に吸い寄せ
      
  • 属性:無属性  HP:5,400

    攻撃力:3,000  防御力:400  魔法防御力:0

    移動力:5  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,000
    毒針 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,400 + 50%の確率で毒
      
  •   
  • 属性:風属性  HP:7,600

    攻撃力:3,400  防御力:400  魔法防御力:200

    移動力:6  攻撃射程:3

    技名 射程 効果
    通常攻撃 3 単体に 無属性の物理ダメージ3,400
    たつまき 5 単体に 風属性の物理ダメージ3,400 + 100の確率でスタン + 吹き飛ばし5マス
    ファイアブレス 7 直線範囲(幅:3マス)に 属性:火属性の物理ダメージ3,000

 「ここから中央都市ロレーヌまで半日といったところか。できれば今日中に辿り着きたいところだね。」

フォルトの言葉に異論は出なかった。

「そうね。平原のど真ん中で野宿するほど危険なことはないわ……」

セティアの駄目押しの一言で、一行は黙って歩みを早めた。

そろそろ日も暮れようという頃、目前に海が見えてきた。水平線に映る太陽は、より一層輝いて見えた。

「すごい……この海、どこまで続いているんだろう。」

エリオルの問いにセティアが答える。

「正確には内海よ。大陸北部と南部を分断しているの。
北部には、山脈の間を縫った先に『教会都市トゥール』。東部には、世界樹のある『聖域都市クレテイユ』。南部には『港湾都市ダンケルク』。そして西部に、南西部との貿易の拠点『ルーアン』、内海の西端には大陸最大の都市『中央都市ロレーヌ』が、それぞれ位置しているわ。」

「『中央都市ロレーヌ』……、大陸一の大都市かぁ……。義母さまは、ここを中心に世界を知っていくといいと言っていたけれど……」

アリスが感慨深げに言葉を漏らした。

セティアが少し冷めた声音で呟く。

「まあ、世間知らずのお嬢様がどこまで頑張れるかってところだけれど……」

そう言ってアリスに向き直ったセティアは言う。

「とりあえず、ここまではよくやってきたんじゃない? 少なくとも、初めて会った時よりは、あんたは立派になったと思うわ。」

セティアの言葉にアリスは赤くなった。

直後、自分も恥ずかしくなったのか、セティアも赤面した。

「と、とにかくっ……、こうなったら私も最後の最後まで付き合うわよ……!」

そんなセティアを見ながら、フォルトは考えていた。

「(教皇様はここまで見越して、セティアに護衛の任務を与えたんだろうな。しかし、この旅、何もなく終わるとは思えない。セティアにとっては、かの者たちとの接点は避けて通れない。そして恐らく、エリオルことについても教皇様は何か気付いている。さしずめ僕は、“監視役“兼“伝達役“といったところか……)」

考えているうちに他の皆から歩みが少し遅れていた。

「(とにかく、すべては教皇様の思惑通りか……。)」

すぐに追い付き、皆に声をかける。

「さあ、日が暮れたら、市街の城門が閉じてしまう。少し急ごうか。」

そう言うフォルトの顔に、先程までの思案の色は見てとれなかった。

中央都市ロレーヌ

ぎりぎり、城門を通った一同は、早々に宿をとった。アリスとセティアが二人部屋、エリオル達が三人部屋に入り、会話もそこそこに、すぐに寝入ってしまうのであった。

翌朝、エリオルは廊下からの怒鳴り声で目を覚ました。横を見ると、フォルトは既に身支度を整え、外の様子を見に行こうとしていた。ジェラルドは、まだ寝ているようだ。

エリオルも慌ててジェラルドを起こし、部屋の外へ出た。

どうやら、セティアと一人の男が口論になっているようだ。男は行商人のような格好をしていた。

「だから、私たちは何も知らないって言っているでしょう!?」

「いや、お前達がやったんだろう!正直に認めたらどうだ!」

フォルトが慌てて止めに入り、詳しい話を聴くことになった。

話によれば、男は昨日の夕方、この宿に到着したらしい。馬をつないで様子を見て、そのまま部屋に入ったのはちょうど日没の前ぐらいだという。

「宿屋の主に聞いたぞ! 俺の後にこの宿に来たのは、お前たちだけだそうじゃないか。それまでは確かに俺の馬はつながれていたんだ。一番怪しいのは、お前たちだろう!」

「そんな……、確かに最後に宿に入ったのは私たちだけど、それだけで犯人扱いなんて……」

アリスが悲しそうに言うが、男は聞く耳を持たないようだった。

その時、宿屋の外が騒がしくなり、鎧を着た兵士が何人か入ってきた。兵士の一人が告げる。

「宿屋の主人から連絡があった。詳しい話は詰め所で聞こう。両者とも着いてこい。」

「到着早々、厄介なことになったな……」

ジェラルドの一言が、皆の気持ちを代弁していた。

中央都市警備隊詰所

「だから、俺は、こいつらが罪を認めて、馬が帰ってきさえすればそれでいいんだ!」

「私たちだって昨日はすぐに寝ちゃったんだから、あんたの馬のことなんて知らないわよ!」

詰め所でも、男とセティアの口論が続いていた。

警備隊の兵士も、埒が明かないやりとりに苛立ち始めていた。

そこに突然、立派だが派手に飾り過ぎない鎧を身に付けた、精悍な顔立ちの青年が入ってきて、兵士に声をかけた。

「どうした、騒がしいな。」

「ル、ルシウス警備隊長殿! お疲れ様です!」

「何か揉め事か?」

「はっ、それが……」

警備隊長と呼ばれた男に兵士が説明を始めた。

「なるほどな……。だが、疑わしきは罰せず、という言葉もある。まずは、その旅人たちを釈放したまえ。」

「で、ですが、隊長……」

ルシウス警備隊長は構わず続けた。

「時に、商人よ。そなたの馬は青銅の鞍をつけていなかったか?」

「は、はぁ……、確かにそうでございますが……」

「それならば、今朝夜明け過ぎに、窃盗団の一味が、市内から盗んだ馬を複数つれて逃げようとしたところを捕まえてある。」

そこで、ルシウスは一拍置き、意味ありげに付け加えた。

「聖王教会ロレーヌ支部隊がな……」

これに反応したのは、エリオルたちでも行商人の男でもなく、警備隊の兵士であった。

「また、あの者たちですか!? 市内の警備は我らに任せておけばいいというのに!」

「まあ、そう言うな。時には彼らの方が迅速に動ける場合もある。今回がまさにその例だ。」

「しかし、我ら中央都市警備隊は、聖王戦役以前からずっとこの都市の治安を守っているのですよ! 聖王教会は分をわきまえるべきです!」

「そういったしがらみがなくなれば、彼らも我らも、もっと柔軟に兵を運用できるのだが……。
ともかく、その者たちは無罪だ。丁重に扱うように。また、そちらの商人殿にはすぐに馬を返すよう手配しよう。」

「あ、ありがとうございます!」

行商人の男は、警備隊長に礼を言うと、エリオルたちのほうを振り向いて頭を下げた。

「あんたたちも、すまなかったな……。俺の早とちりだったみたいだ……」

「ほんとよ、おかげでこっちは……「まあまあ、無事に盗まれた馬は返ってくる、僕たちも無罪放免と、何も問題ありませんよ。」」

ここぞとばかりに文句を言おうとしたセティアをフォルトが遮り、場を丸くおさめた。セティアは何か言いたげな目でフォルトを睨んだが、フォルトは気付かない振りをした。

「さて、私もこれで失礼する。これでも忙しい身なのでね……」

そう言って肩をすくめると、ルシウス警備隊長は去っていった。

その後ろ姿を見送りながら、エリオルとセティアが言葉を交わす。

「何か、助かっちゃったね。」

「当たり前よ。濡れ衣だったんだから!」

セティアをなだめながらフォルトが言った。

「とりあえず、まずは聖王教会のロレーヌ支部に向かおう。教皇様から話が伝わっているはずだからね。」

中央都市ロレーヌ

改めて市内に出てみると、その活気に圧倒されてしまうエリオルたちであった。それも当然だ。セティアとフォルト以外の3人にとっては、こんな広い街など見たことがないのだ。王城のような建物は無いとはいえ、単純な広さで言えばモーゼル帝国の城下町よりもずっと大きい。また、教会の総本山「教会都市トゥール」と明らかに違う点は、周囲をぐるっと囲う城壁である。正確には市壁といったところであるが、その役割は城を囲うそれと大差ない。北・西・南と大きな門にてサントラル平原と通じており、常に番兵により出入りが管理されている。東側は直接、内海に通じる港となっており、各都市への定期船が運行されている。

アリスが遠い目をしながら呟く。

「ここが、先の戦役の最前線……」

セティアが言葉を継ぐ。

「そうね、使徒との戦いは長期に渡った……。最終的には、北側、霊山方面からの敵の進行を許し、市内北部の民間人が戦火に巻き込まれたわ。それでも、あれだけの大軍に攻められて、街全体が崩落しなかったのは、この街を中心に、各地からの軍勢を指揮統合してガラテアを封印した、"聖王"ユージーンさまのお力によるものね。」

「聖王戦役か……。アリスにとっては多くのものを失うことになったんだものね……辛いよね……アリス、無理に思い出さなくても……」

エリオルの言葉はアリスによって遮られた。

「ううん。あの戦役を乗り越えたから、今の私がある……。お父さんも、多くのものを私に残してくれたから……。多くの人たちが守ってきたこの世界を、今度は私たちがどう守っていくか、私なりにその答えを探してみたいの。」

それを聞いて、満足げに答えるジェラルド。

「さすがだなアリス! 俺たちだって、どこまでも着いていくぜ!」

フォルトがそれに便乗する。

「僕たちも、聖王教会からの正式な護衛任務として同行させてもらうよ。それが、教皇様に命じられたことである以前に、君たちには心から協力したいと思うからね。」

そこで、アリスに真剣な目を向けると、

「ただし、アリス。君の旅には恐らく多くの困難が降りかかるはずだ。村でそのまま暮らしていれば分からなかったこと、知らなくて済んだことを、否応なしに知ることになるかもしれない。関わらずに済んだ多くの事に巻き込まれるかもしれない。それでも君は旅を続けるかい?」

アリスはしっかりと頷いて答えた。

「うん。それが、あの日、私が決めたことだから。」

アリスの決意にフォルトは満足そうに微笑んだ。前方からセティアの声がかかる。

「はいはい。お取り込み中悪いんだけど、着いたわよー」

一同の前には、トゥールのものに負けないほど立派な大聖堂がそびえ立っていた。中に入ると、やはり厳かで静けさに包まれており、教会独特の神秘的な雰囲気に溢れている。時折、セティアやフォルトと同じ法衣に身を包んだ者とすれ違う。彼らもやはり聖王教会の教会騎士なのだろうかと、エリオルが思いを巡らせているうちに、大聖堂の終点へとたどり着いた。

「やあ、よく来たな。君たちに聖王様の加護があらんことを。」

耳に響く男性の声。歳は50半ばぐらいだろうか。きれいに整えられたひげに、優しげな風貌。絵にかいたような教会の神父といった姿がそこにあった。

「おひさしぶりです、フェルナンド教区長」

「ああ、ひさしぶりだな、フォルト。活躍はこちらに居ても耳に入ってくるぞ。そして、セティア……。相変わらず、使徒の殲滅に心身を捧げているようだな……」

「はい……それが私の決めた道ですので」

頑なな物言いのセティアに対し、フェルナンド教区長は優しく言い聞かせる。

「他人を守れる者に一番必要なのは、まず自分の身を大切にできることだ。自らを傷つけ、追い詰めて、誰かを守ることが、真に人を守ることに繋がらないことは心得ているな?」

「はい、心得ております。」

そこで、教区長はエリオルたちに顔を向けて名乗った。

「聖王教会ロレーヌ支部教区長、フェルナンドという。以後、お見知りおきを願おう。」

3人もそれにならう。すると、フェルナンドはアリスに顔を向けて呟いた。

「なるほど、君がアリス君か。ロイ殿の面影が残るな…」

「父をご存知なのですか?」

「もちろんだとも。彼は勇敢であった……。私のような老いぼれが生きながらえ、彼のような優秀な人物を失うとは、世は儚きものだ……」

「教区長さま…」

「しかし、アイリーン教皇殿には恐れ入る。戦役後すぐに聖王教会を整備し、大陸中の治安の回復と復興に尽くされた……。どうやらその心は、義娘たる君にも受け継がれているようだね。」

「はい……、義母(はは)は私に、多くの事を教えてくれました。」

「逆に、君が居たことが彼女にとっても大きな助けになっただろう。ユージーン様を失った後、たったひとり何の支えも無しに、あれだけのことは成し得まい。君の存在こそが教皇様の支えなのだろう。」

「優しきお言葉、痛み入ります。」

その時、身なりの良いひとりの男性が大聖堂に入ってきた。男性はエリオルたちのことは気に留めていないのか、そのまま教区長に話しかけた。

「フェルナンド! 今朝また、聖王教会と警備隊との間でいざこざがあったのだろう。いい加減、仲良くできないのかい?」

「それに関しては、私も、ルシウス警備隊長殿も骨を折っておりますよ。それでも末端の兵同士の気持ちまでは、そうそう統率できないのが現状なのです。」

そこで言葉を切り、

「それよりも、シェイル殿。今は来客中でして……」

そこで男性は初めてアリスたちのほうを見て言った。

「なるほど……。かのアイリーン女史の養子のお嬢さんに、そのご友人、そして護衛の教会騎士殿か。」

そこまで言うと、意味ありげに含み笑いをしながら続けた。

「いやぁ、何やら大冒険の臭いがするねぇ!」

「相変わらず情報が早いですなシェイル殿……。しかし、市長ともあろうあなた様が、ご挨拶をお忘れなのではありませんかな?」

若干の皮肉を込めて、フェルナンドが嗜めた。

「おや、これは失礼した。あらためて、僕は、この中央都市ロレーヌの市長をしているシェイルという者だ。よろしく頼むよ。」

そして、あいかわらず含み笑いをしながら言葉を続けた。

「君たちも災難だねぇ。到着早々、盗人に間違えられ、果ては、中央都市警備隊と聖王教会との不仲を目の当たりにするとは!」

「あなた様がそれを言ってどうするのです……」

半ば呆れた様子でフェルナンドが言った。

「まあ僕としては、問題事が解決してから耳に入るのが、一番楽でいいのだけれどね。」

「そのようなスタンスで、市長というポジションから揺るがないのですから驚きです……。」

「まあ、挨拶はさておき……、アリス君だったかな?」

市長の目がまっすぐにアリスを捕らえる。

「単刀直入に聞こう。君はなぜ、旅に出たんだい?」

アリスは、やや緊張しながらも、しかし、はっきりと想いを口にした。

「父や、多くの人たちが守ったこの世界を、そして義母(はは)が守ろうとしているこの世界を、自分の目で見て確かめたいんです。」

「なるほど。確かに君は、親鳥の元にいつまでも留まっているような雛鳥ではなさそうだ。」

市長があらためて尋ねる。

「ここまでの旅の間にも、おそらくいろいろなことがあっただろう。それでも君の決意は揺るがないのだね?」

「はい。」

先ほど以上にはっきりと市長の目を見て、アリスは返事をした。

「そうか……。では、僕から君たちに、ひとつ仕事を依頼するとしよう。」

「依頼、ですか?」

市長の提案に、アリスが怪訝な顔をする。

「ああ、簡単な仕事さ。エルフの里への書状を届けてほしい。」

「なっ!? シェイル市長、なぜ、そんな依頼をアリスに?……」

「無論、君が居るからでもあるよ、ハーフエルフの教会騎士君。」

「っ……!」

セティアが苦虫を噛み潰したような顔をする。

「なに、ダンケルクやクレテイユに行く前にはルーアンにも立ち寄るんだろう?そこからエルフの里までは案内を手配しておかくから、先にそちらへ足を伸ばしてもらいたい。世界を知るなら、一度は行ってみるべきではないかな?」

「しかし、市長……」

セティアはあいかわらず苦い顔をしている。

「セティア……?」

どうしたのかと顔を伺うアリスに、セティアはぶっきらぼうに言った。

「…………………ああ、もう好きにしたら……? 私は護衛だから、あんたに着いていくだけよ……」

あいかわらず、どこか投げやりな様子のセティアから何かを感じつつも、アリスは意を決して返事をした。

「シェイル市長、ご依頼、確かに承ります。」

「そうかい! いやぁ、ありがとう!良かったよかった。旅の無事を祈ってるよ。ルーアンまでの船は街の東の港から出ている。アリス君の指輪を見せれば、すぐに船を手配してもらえるはずさ。」

最期に5人に向き直って、ウィンクしながら市長は言った。

「健闘を祈るよ。グッドラック!」

それに答え、一礼し、部屋を出ていく一同。

部屋にはシェイルとフェルナンドが残された。

「ふむ、上手くいったようだね」

シェイルが満足げに微笑む。

「しかし、本当によろしかったのですか?」

フェルナンドが問いかける。

「彼らには荷が重すぎるのでは……?」

「おいおい、そもそも今回の件、君のところの教皇殿の提案だろう?」

「ええ、その通りです。本来ならば私などが口を挟むべきことではないのですが…」

ためらいを含んだ口調で続けた。

「彼らの身を案じずにはいられないのもまた当然のことでしょう…。」

「フェルナンド……、君は優秀なあまり、頭が堅すぎる。彼ら一人ひとりを"個"としてとらえ、その単なる集合としての側面でしか物事を捉えられないようでは、本質は見えてこないさ。」

「市長殿には、事象の因果が見えるのでしたな……」

「なに、難しいことじゃないさ。因果を紡ぐ"事象"は、刻々と変化を繰り返している。それらを俯瞰的に眺め、行き着く先を予測する。ある意味では、誰にでもできることであり、そして、誰もやろうとしないことであるだけなのさ。」

淡々と語る市長に僅かに気圧されながらフェルナンドが尋ねた。

「では、その上で、彼らは事を成し遂げると、あなたさまの眼には写っているのですね。」

「いや、……違うな」

市長が初めて真面目な顔でフェルナンドを見た。

「"見えないんだよ" 彼らの周りの因果だけがね! まるでそこだけ黒く塗りつぶされているように。彼らが何を成し遂げるのかは、僕にも分からない。」

「そんな……!それでは……」

「だからこそ興味をもったのさ。世の中の起こり得ることは、すべて既に決まっているのかもしれない。しかしそこに、因果をも書き換える不確定要素が入り込んだとき、世界はどのような道を選択するのだろうね。」

より一層不安げな顔をするフェルナンドの横で、シェイルは再び微笑むのであった。

中央都市ロレーヌ・港

エリオル達一行は、ロレーヌの東側に面する港に来ていた。

「なんだか、さわがしいね。」

あたりを見回しながらエリオルが言った。

「少し様子を聞いてくる。君たちはここで待っていてくれるかい。」

そう言って、フォルトが聞き込みに行った。

「何かあったのかしらね?」

セティアが呟き、一同が首を傾げていると、聞き覚えのある声がした。

「おお、あんた達か! また会うなんて奇遇だな!」

そこにいたのは、今朝、窃盗団に馬を盗まれ、誤解からセティアと口論になったあの商人であった。

「あなたは、今朝の……」

アリスが返事をし、セティアは少し嫌そうな顔をした。

「おっと、そういや自己紹介もまだだったな。俺は、商人のトーマっていうもんだ!ロレーヌとルーアンを行き来して、貿易をしてるんだ。馬や、らくだを使ってレメス砂漠を越えながらな。」

「らくだ……?」

聞き慣れない言葉に疑問を浮かべるエリオル達。

「おう、こいつらよ!」

そう言うと、トーマは連れていた数匹の動物を指差した。それは、馬とは少し違った、背中にこぶのある、変わった動物であった。

トーマが自慢げに言う。

「砂漠を越えるならこいつらにかぎるんだ。」

そこに、フォルトが戻ってきた。

「みんな……、困ったことになった……。ルーアン沖に "シードラゴン" が現れたらしい。どうやら、しばらく船は出せないそうだ……」

「シードラゴン…? この辺の海には、そんな魔物がいるんだ……」

エリオルが、驚きと感心の入り交じった声で答えた。

「そういえば、トゥールに着くまでの船では、俺たち3人で "クラーケン" を倒したんだぜ!」

ジェラルドが得意そうにフォルトに言う。

「クラーケン……、北方海域で"海の悪魔"と称される魔物か。だが、シードラゴンの力はクラーケンの比じゃない。襲われた船が無事で済んだという話は、聞いたことがないな。どんなに屈強な戦士をいくら集めたって、海の上では分が悪すぎる。」

すると、思わぬところから声がかかった。

「それじゃあ、あんた達、俺の隊商のらくだに乗っていくかい。」

商人がフォルトに挨拶しながら言った。

「馬泥棒の件で犯人扱いしちまったお詫びさ!」

フォルトが少し困った顔をしながら答えた。

「しかし、トーマ殿……、今朝のことでしたら、こちらにも非がありましたし、あまりお気になさらずとも……」

「いや、困ったときはお互い様っていうしな。ルーアンまで行くんだろ? あんたらの分のらくだを増やしたって、どうってことないさ。」

「砂漠の旅か……」

フォルトが思案気な顔をしていると、トーマが、任せとけと言わんばかりに続けた。

「なーに! レメス砂漠は俺の庭みてぇなもんだ。しっかりルーアンまで連れていってやるよ!」

「ふむ……、セティア。」

フォルトに呼ばれたセティアが答えた。

「いいんじゃない? どうせ船は当分出せないんでしょう?」

それを聞き、フォルトは決断したようだった。

「よし、分かった。それではトーマ殿、道中よろしくお願いします。後々、聖王教会からも正式な謝礼をご用意させてください。」

「おいおい、そんなにかしこまらないでくれ。まあ、全力でルーアンまで送ってやるからよ。」

こうして一行は、中央都市ロレーヌから、レメス砂漠を南下してルーアンを目指すことになった。

レメス砂漠

パーティー
HP攻撃防御魔防習得
エリオル
(Lv40)
1000025001300400
アリス
(Lv40)
84007003001300
ジェラルド
(Lv40)
1100023001300200
セティア
(Lv40)
87008003001000
フォルト
(Lv40)
92001600600600
敵データ
  • サンドバイター
  • すなもぐら
  • サボテンウォーカー
  • スフィンクス
  • 属性:土属性  HP:5,000

    攻撃力:3,000  防御力:300  魔法防御力:100

    移動力:7  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 土属性の物理ダメージ3,000
    地裂撃 7 直線範囲(幅:3マス)に 土属性の物理ダメージ2,400 + 50%の確率でスタン
  • 属性:土属性  HP:4,200

    攻撃力:3,200  防御力:200  魔法防御力:200

    移動力:4  攻撃射程:2

      
    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,200
    すなあらし 3 円範囲(自身中心:3マス)に 土属性の物理ダメージ3,200
  • 属性:無属性  HP:6,000

    攻撃力:3,000  防御力:500  魔法防御力:0

    移動力:3  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,000
    神経針 5 単体に 無属性の物理ダメージ3,400 + 防御力200ダウン
  • 属性:無属性  HP:36,500

    攻撃力:4,000  防御力:800  魔法防御力:800

    移動力:5  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ4,000
    突進 7 直線範囲(幅:5マス)に 無属性の物理ダメージ3,600 + 対象方向に7マス移動
    熱風 ALL 敵全体に 火属性の物理ダメージ2,600 + 素早さダウン
    ミラージュマジック 10 単体に 幻属性の魔法ダメージ4,000 + 50%の確率で暗闇 + 50%の確率で混乱

「暑い……、何だよ、この暑さ……」

砂漠の旅を始めて早々にぼやくジェラルド。

前のほうから、らくだの上で振り返って、トーマが答えた。

「へへっ、お前さん達3人は、北方の出なんだってな。こんな暑さは経験したことないだろ。まあ、半日もしたら慣れるさ。」

「いや、無理だろ……、慣れるわけねーって……」

ジェラルドは、いっそう憂鬱な顔をした。

「それにしても、見渡す限り砂ばっかりなんだね……」

エリオルが辺りを見回しながら言った。

アリスがそれに同意しながら答える。

「本当だね。どうやって、進む方向を確かめてるんだろう?」

聞いていたトーマが、すかさず語りかけてきた。

「そりゃ、あれだ。太陽の方角とかな。あとは、まあ、商売上の企業秘密ってやつだな。誰にでもできることをやったって、儲からないからな。」

そのまま、らくだに揺られること、さらに数時間。辺りが暗くなってきた頃、一行は不思議な光景を目の当たりにした。

「何、あれ……? 建物?」

アリスの問いに、笑いながらトーマが答えた。

「驚いただろう!太古の時代から、この砂漠にあるんだとさ。偉い学者さん方は"ピラミッド"なんて呼んでたな。俺たち行商人たちにとっては、いい野営地になってるんだ。」

そして、ピラミッドと呼ばれる建物の一角を指差す。

「あそこから中に入れるんだ。だけど、探検しようなんて思うなよ。すぐに行き止まりで、何にも無いからな。学者の先生方も頭をひねってたぜ。」

ピラミッド

「おいおい、砂漠ってのは、夜は夜で寒いのかよ!?」

またもぼやくジェラルドに、フォルトが言った。

「僕も書物で読んだぐらいで、砂漠の夜を経験したのは初めてだな。」

そして、セティアのほうを振り返って続ける。

「君は昔、砂漠を越えたことがあったんだったね。」

「……………………、思い出したくない……。」

遠い目をして答えるセティアに、珍しく、しまったという顔をしてフォルトが声をかけた。

「すまない……、忘れてくれ……。」

「さて、お前さん達、そろそろ寝るぞ。」

トーマがランプの灯りを小さく絞りながら言った。

誰からともなく、トーマの用意した簡易な寝床に横になり、眠りについた。


深夜――――――――――

≪ほう、魂の形が歪だな……≫

どこからともなく、聞こえる声。その声が続けて言った。

≪だが、そのような者は、この辺りにも、もう一人おったな……≫

エリオルが目を開けた。

「誰……?」

辺りを見回しても誰もいない。気のせいだったのかと思い、もう一度眠りにつこうとすると、今度はエリオルの耳にはっきりと聞こえてきた。

≪欠片を背負いし者よ……、勇気があるならば、我が元まで参るがよい……≫

声はピラミッドの奥から聞こえた。

「(何だろう? ちょっとだけ、様子を見に……)」

そう思い、立ち上がったエリオルに、誰かが声をかけた。

「エリオル?」

はっとして振り返ると、少しムッとした顔で、アリスがこちらを見ていた。

「なんだか嫌な予感がして目が覚めたら……、もう、エリオルったら、また勝手にどこかに行こうとするなんて……」

「ご、ごめん、アリス……」

慌てて謝るエリオルに、アリスが問いかける。

「いったい、どうしたの?」

「声が、聞こえたんだ……」

「声? やだ……エリオル……。月の浜辺の時みたいなこと言って……。」

そのときのことを思い出したのか、少し青い顔をするアリス。

「あの時だって、私、すごく心配したんだからね。」

「うん、本当にごめん……」

すると、二人の話し声で、セティアが目を覚ましたようだった。

「ぅん……何よ、あんたたち、こんな夜中に何を騒いで……」

そしてそのまま二人の様子を見て、だいたいの事を察したらしい。

「あぁ~、そう、そうなの……。また、なのね……。また……。あーもう、あんたって奴は~!!」

半ば、眠気から来る怒りを、ストレートにぶつけてくるセティア。

「ご、ごめん、セティア……」

一方、さっきから謝ってばかりのエリオルであった。

そのうち他のみんなも起きてきたが、トーマだけは大いびきをかいて寝ており、目を覚ます様子はなかった。

「いいわよ。ほっときましょう。」そしてセティアはエリオルのほうを向いて言った。

「声が聞こえたって、あんた、また煉獄の使徒にたぶらかされてたんじゃないでしょうね?」

「いや、さっきの声はもっと違って、悪意や邪心は無かったっていうか……」

必死に説明するエリオルだが、エリオル自身にも分からないことばかりであった。

「とにかく、このピラミッドの奥から聞こえてきたんだ」

顔を見合わせるセティアとフォルト。

「どう思う、フォルト?」

「確かに、邪気や瘴気のたぐいは感じられない。少なくとも、煉獄の使徒がらみではなさそうだ。ともかく、トーマ殿が言っていたピラミッドの行き止まりまで行ってみよう。」

そこで、3人のほうを向いて付け加えた。

「ただし、僕とセティアが先を行く。危ないと思ったら君たちはすぐに逃げるんだ。」

そして5人は、ピラミッドの奥へと進んでいった。途中2度ほど曲がると、すぐに大きな広間に出た。

「確かに行き止まりに出たな。前にあるのは石板か」

フォルトが呟く。

「なんだ、本当に行き止まりじゃねーか。トーマのおっさんの言った通りだな。」

そう言ったジェラルドを初め、3人は部屋の入り口で様子を見守っていた。

その時、フォルトの調べていた石板が、突然、まばゆい光を放ち始めた。

「きゃあ! 何?」「くっ、しまった!」

驚くセティアとフォルトの足元を紫色の魔方陣が包む。

「これは……転移の術式か!」

そこでフォルトは、エリオルたちのほうを向き叫んだ。

「逃げるんだ、君たちだけでも! ……早くっ!」

しかし、そう言い終わるが早いか、今度はエリオルたちの足元に魔方陣が現れる。

「うわ!何だよ、これ!?」 「きゃっ! エリオル!どうしよう……!」「アリスっ!気をつけて!!」

それぞれの言葉を飲み込むように魔方陣は光を強め、やがて5人の姿を包んで消えていった。あとに残された広間には、何事も無かったかのように、異様なほどの静けさだけが残った。

パーティー
HP攻撃防御魔防習得
エリオル
(Lv40)
1000025001300400シルフィード、治癒功
アリス
(Lv40)
84007003001300サクション、シャイニング
ジェラルド
(Lv40)
1100023001300200ガードフォース
セティア
(Lv40)
87008003001000ファイアフォース、グランドフォース、スパークレーザー
フォルト
(Lv40)
92001600600600アイシクルランサー、ファントムペイン
敵データ
  • マミー
  • ファラオ
  • ミミック
  • 属性:無属性  HP:5,800

    攻撃力:3,200  防御力:300  魔法防御力:300

    移動力:4  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,200
  • 属性:無属性  HP:8,000

    攻撃力:3,600  防御力:400  魔法防御力:400

    移動力:5  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,600
    呪い 10 単体に 無属性の物理ダメージ3,600 + 100%の確率で石化
    ファントム 10 単体に 幻属性の魔法ダメージ3,000 + 50%の確率で暗闇 + 防御力400ダウン
  • 属性:無属性  HP:44,400

    攻撃力:3,800  防御力:300  魔法防御力:500

    移動力:移動しない  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ3,800
    大爆発 5 円範囲(自身中心:5マス)に 無属性の物理ダメージ5,000 + 吹き飛ばし10マス + 自身に 4,400ダメージ
    エナジーサック ALL 敵全体に 無属性の魔法ダメージ3,000 + 与ダメージの50%分HP吸収
    ファイアボール 単体 単体に 火属性の魔法ダメージ5,000
    ハイウェーブ 10 直線範囲(幅:5マス)に 水属性の魔法ダメージ3,000 + 吹き飛ばし7マス
    ストーム 10 円範囲(対象中心:5マス)に 風属性の魔法ダメージ3,000

「来たか……」

何者かが一同に声をかけた。人のような体に、獣のような顔、全身に白いローブをまとっている。

「こいつは!?」「煉獄の使徒、ではなさそうね。」

驚くジェラルドに対し、冷静なセティア。

目の前の男は、わずかに顔を歪めた。

「我を、あのような者どもと同等に捉えられるのは、いささか不快ではあるが、まあしかたあるまい。」

すかさず、エリオルが疑問を投げ掛ける。

「僕が聞いた声は、あなたのものですか?」

「そうだ。何やら珍しき客人がやってきたので、迎え入れたのだ。」

男は答えた。

今度は、フォルトが尋ねる。

「敵意は、無いのですね……。それならば、あなたは何者です?」

「我は”アヌビス” 世界が現世とピュルガトワールに分かれる前、原初の世界の折より、この地を見守る者だ。」

”アヌビス”と名乗る男は静かに語った。

驚いたようにアリスが尋ねる。

「この土地の神様みたいなものですか? それに、原初の世界って……?」

「我は、審理の女神らとは違い、神格に属する者ではない。我は見守る者。世界樹ユグドラシルや海神レヴィアタンらと同じく世界の傍観者だ。まあ、その点では、審理の女神も同じようなものだがな。原初の世界については、我の口から話すつもりはない。ユグドラシルにでも聞くがよかろう。」

フォルトがさらに尋ねる。

「あなたは、永き時に渡り、この地で何を見守っているのですか。」

「古の時代より、二つの世界を行き来する者を、ただ見守ってきた。まあ、かの戦いの後は、そのような必要もなくなってしまったがな。」

「それって、まさか……」

エリオルが驚き、フォルトが代弁する。

「ここに、現世とピュルガトワールを結ぶ”ゲート”が存在し、聖王戦役の折にそれが閉じられたということか。」

「正確には、3つあった閉じられたゲートのうちの一つだがな。」

アヌビスが付け加えた。

「もうひとつだけお聞かせください。”二つの世界を行き来する者”と言いましたが、確かにピュルガトワールからは煉獄の使徒が渡って来ます。しかし、現世からピュルガトワールに渡った者もいるということですか。」

フォルトの疑問に、他の4人にもはっとした。

「感がいいな、若人よ。だが、それは宿題だ。ユグドラシルの信頼を勝ち得てみよ。さすれば、二つの世界について教えを乞うことができるだろう。」

そこで、エリオルを見据えて言った。

「かつて、あの男がそうしたようにな。」

「それは、どういう……?」

何の事だかさっぱり分からないエリオルを気にせず、アヌビスは有無を言わせない口調で言った。

「ふむ、少し話しすぎたな。そろそろ本題に移ろうか。」

そうしてアヌビスは話し始めた。

「ゲートが閉じられた今でも、その近くには、強力な煉獄の使徒が引き寄せられる。このピラミッドの地下、遺跡の奥に、”フィルグ”という煉獄の使徒が住み着いている。先の戦役の生き残りであろうな。放っておけば砂漠の民に被害がでるかもしれん。お主らが奴を討伐してはくれまいか。」

「何であんた自身の手でやらないのよ?」

セティアの問いにきっぱりと答えるアヌビス。

「まあ、お主らに頼むのは単なる気まぐれだな。それに、我は見守る者。世界の理にむやみに干渉はせんのだ。」

「何よ、それ。勝手な都合ね……。でも、いいわ。煉獄の使徒が居るっていうなら、こっちから討伐しに行ってやろうじゃない。」

「待つんだ、セティア。 僕たちの旅には他の目的があるだろう。」

セティアに冷静な判断を促すフォルトだが、アヌビスがそれを遮った。

「お主ら、ここまで来てそのまま帰れると思ってはいまいな。まずはお主らの力量、見定めさせてもらうぞ。」

「だ、そうよ、フォルト。」

「まったく、しかたがないな……。相手の力は計り知れない。エリオル、アリス、ジェラルド、君たちも力を貸してくれ!」

Boss戦

アヌビス

属性:無属性  HP:76,000

攻撃力:3,400  防御力:200  魔法防御力:600

移動力:6  攻撃射程:10

技名 射程 効果
通常攻撃 10 単体に 無属性の魔法ダメージ3,400
ファントムペイン 7 直線範囲(幅:5マス)に 幻属性の物理ダメージ2,600 + 20%の確率で暗闇 + 防御力200ダウン
ダークネスケープ ALL 敵全体に 闇属性の魔法ダメージ2,000 + 20%の確率で暗闇 + 20%の確率で睡眠
ブリンク 幻属性魔法 自身に1ターンの間、回避率50%アップ

ゴルゴンヘッド

属性:無属性  HP:18,400

攻撃力:1,600  防御力:400  魔法防御力:0

移動力:初期配置から移動しない  攻撃射程:7

技名 射程 効果
通常攻撃 7 単体に 無属性の物理ダメージ1,600
ヒートレーザー 7 単体に 火属性の物理ダメージ2,000
ゴルゴンレーザー 7 直線範囲(幅:3マス)に 土属性の物理ダメージ1,000 + 20%の確率で石化

邪神像

属性:闇属性  HP:22,000

攻撃力:1,000  防御力:0  魔法防御力:400

移動力:初期配置から移動しない  攻撃射程:7

技名 射程 効果
通常攻撃 7 単体に 闇属性の物理ダメージ1,000
邪念 7 単体に 闇属性の物理ダメージ1,000 + 攻撃力or防御力or魔法防御力100ダウン
ダークオーラ 闇属性 魔法:自身に HP2,000回復

「ふむ、人の子にしては、なかなかやるな。特にそこの小僧はおもしろい。だが、いまだ力の半分も出しきれていないようだな。」

名指しされたエリオルが疑問を口にする。

「ルクゼスの時といい、皆いったい何を言って……。僕にどんな力があるっていうんだ……」

「エリオル……」アリスが心配そうに見つめる。

そんな二人を気にすることなく、アヌビスは言葉を続けた。

「それだけの力があれば、煉獄の使徒にも遅れをとるまい。この奥の階段から、地下遺跡へと続いている。運が良ければ、また会おう。」

そう言うとアヌビスは、スーっと姿を消してしまった。

5人は揃って階段を見つめた。やがて、互いに頷き合い、先に進むのだった。

地底遺跡

「こんな立派な遺跡が砂漠の地下にあるだなんて。」

「それこそ、太古の時代に造られたものだろうね。」

アリスの問いにフォルトが答えた。エリオルも話に加わる。

「そういえば、気になることを言っていたね。世界が、現世とピュルガトワールに分かれる前、それを原初の世界って呼んでいたけど……。」

セティアが興味無さそうに言った。

「それについては、今はこれ以上考えても仕方がないわ。それより、どうやらモンスターも徘徊しているみたいよ……。来るわ!!」

「まったく、おちおち考え事もできねーな。」

ジェラルドが文句を言うと、セティアが皮肉を言った。

「あんたは、普段から何にも考えてないでしょっ!」

「何だよ! そっちこそ、煉獄の使徒の討伐のことしか考えていないじゃねーか!」

「何ですって!?」

少し離れたところで、アリスが感心したように言う。

「すごい、あの二人……、言い争いながら戦ってる……」

「アリス、気をつけて! 後ろからも来る!」

エリオルが声をかけ、アリスと共にモンスターに対峙した。

エリオルがそれとなくフォルトのほうを見ると、危なげなく、単身、モンスターの群れの相手をしていた。

「やっぱりすごいな……。僕にもあれぐらいの強さがあれば……。」

そう思うエリオルの心の中で、何かがわずかに疼くのを感じた。

パーティー
HP攻撃防御魔防習得
エリオル
(Lv40)
1000025001300400
アリス
(Lv40)
84007003001300
ジェラルド
(Lv40)
1100023001300200
セティア
(Lv40)
87008003001000
フォルト
(Lv40)
92001600600600
敵データ
  • ゴーストナイト
  • ダスターガイスト
  • パンドラ
  • リビングアーマー
  • 属性:無属性  HP:6,000

    攻撃力:3,600  防御力:600  魔法防御力:0

    移動力:5  攻撃射程:4

    技名 射程 効果
    通常攻撃 4 単体に 無属性の物理ダメージ3,600
    エイミングスロー 7 直線範囲(幅:3マス)に 無属性の物理ダメージ3,000
    スイングスピア 4 円範囲(自身中心:4マス)に 無属性の物理ダメージ3,000 + 吹き飛ばし3マス
    ファントム 10 単体に 幻属性の物理ダメージ2,000 + 50%の確率で暗闇 + 防御力200ダウン
  • 属性:土属性  HP:3,800

    攻撃力:3,000  防御力:5,000  魔法防御力:300

    移動力:5  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 土属性の物理ダメージ3,000
    ダストクラッシュ 7 単体に 土属性の物理ダメージ3,000 + 50%の確率で毒 + 50%の確率で暗闇
  • 属性:無属性  HP:5,600

    攻撃力:3,200  防御力:300  魔法防御力:300

    移動力:6  攻撃射程:10

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の魔法ダメージ3,200
    マリオネット 7 単体に 100%の確率で混乱
    ダークバインド 10 単体に 闇属性の魔法ダメージ3,600 + 100%の確率でスタン
  • 属性:無属性  HP:47,000

    攻撃力:4,200  防御力:800  魔法防御力:200

    移動力:3  攻撃射程:2

    技名 射程 効果
    通常攻撃 2 単体に 無属性の物理ダメージ4,200
    一刀両断 2 単体に 無属性の物理ダメージ6,000
    カーズブレード 5 円範囲(自身中心:5マス)に 闇属性の物理ダメージ3,500 + 20%の確率で悪霊
    召喚 「ゴーストナイト」×1をフィールドに召喚する。

モンスターを退治しつつ、やがて一同は遺跡の最奥まで辿り着いた。

「これは、砂? 砂漠のずっと地下だっていうのに……」

遺跡の奥の広間は、床一面、砂で覆われていた。突如、その砂の一部が盛り上がり、巨大な手の形となって、こちらへ向かってきた。

「きゃあっ!」

「危ねえっ!」

悲鳴をあげるアリスを、慌ててジェラルドがかばう。

「これが、"フィルグ"っていう煉獄の使徒……?」

エリオルが呟いた。しかし、セティアは砂の手とは違うほうを見ながら言った。

「違うわね、本体は……あれよ!」

広間の中心あたりに、無機質な金属のような姿が見えた。体の一部だけを砂の上に出しているらしい。

「とはいえ、まずはこの砂の手をどうにかしないと、本体に近づけないな。」

「さあ、はじめましょうか! 覚悟しなさいよ! 煉獄の使徒っーー!」

セティアの叫びが、開戦の合図となった。

Boss戦

フィルグ(第一形態)

属性:土属性  HP:?????

攻撃力:4,000  防御力:???  魔法防御力:???

移動力:フィールド中央から移動しない  攻撃射程:5

技名 射程 効果
【無敵】 ※特殊能力
全てのダメージと効果を受けない。
「サンドアーム」2体を倒すと戦闘終了。
通常攻撃 5 単体に 土属性の物理ダメージ4,000
地裂撃 7 直線範囲(幅:3マス)に 土属性の物理ダメージ4,000 + 50%の確率でスタン
アリジゴク 円範囲(地点中心:7マス)に 土属性の物理ダメージ3,000 + 円範囲中心に引き寄せ
グランド 10 単体に 土属性の魔法ダメージ5,000
マインドブレイク 7 闇属性 物理:単体に 100%の確率で魅了

サンドアーム

属性:土属性  HP:42,000

攻撃力:2,000  防御力:200  魔法防御力:200

移動力:5   攻撃射程:2

技名 射程 効果
通常攻撃 2 単体に 土属性の物理ダメージ2,000
薙ぎ払い 3 円範囲(自身中心:3マス)に 無属性の物理ダメージ2,000 + 吹き飛ばし3マス
サンドムーブ 7 直線範囲(幅:3マス)に 土属性の物理ダメージ2,000 + 対象方向に7マス移動
サプライズハンド 単体に 無属性の物理ダメージ2,500
※一番遠くの敵を狙う

5人の攻撃を受けて、砂の手は崩れ落ちた。その途端、遺跡全体を激しい揺れが襲った。足元の砂が流砂のように渦巻き、地中にもぐっていた煉獄の使徒がついにその姿を表す。砂の上に完全に姿を見せたのは、足の無い金属の巨人のような煉獄の使徒だった。

Boss戦

フィルグ(第二形態)

属性:土属性  HP:120,000

攻撃力:5,000  防御力:600  魔法防御力:600

移動力:フィールド中央から移動しない  攻撃射程:3

技名 射程 効果
【流砂】 ※特殊能力
自身のターン終了時に、敵全体に フィールド中央に引き寄せ(1マス)
通常攻撃 3 単体に 土属性の物理ダメージ5,000
ギガプレッシャー 1 単体に 無属性の物理ダメージ8,000 + 50%の確率で即死
グランドダッシャー 5 円範囲(自身中心:5マス)に 土属性の物理ダメージ6,000 + 50%の確率でスタン
サンドストーム ALL 敵全体に 土属性の物理ダメージ3,500 + 20%の確率で暗闇 + 移動力ダウン
ストーンシャワー 10 直線範囲(幅:5マス)に 土属性の魔法ダメージ4,500 + 防御力300ダウン
グラビティスフィア 10 円範囲(対象中心:5マス)に 無属性の魔法ダメージ4,500 + 移動力ダウン + 素早さダウン

鉄壁と思われた煉獄の使徒の身体であったが、徐々にその表面に亀裂が走っていく。

「これでっ! 終わりよ!!!」

セティアの放った魔法が煉獄の使徒を貫き、使徒の身体は粉々に砕け散った。その破片は砂へと還り、渦巻いていた砂も落ち着きを取り戻した。

「倒したのか……」

「そうね……」

皆、肩で息をしている。今までの煉獄の使徒とは、まるで格が違う相手であった。次の瞬間、目映い光が5人を包み、気づけばそろってピラミッドの行き止まりの広間にいるのであった。

「あれ、ここは……」

「今までのことって」

皆、今起きたことを思い返していた。

「夢などではないぞ。」

突然、アヌビスの声がした。

「使徒の消滅を確認したので、ここまで転移させたのだ。よくやってくれた。これでこの辺りの民の身も安泰であろう。お主らには例を言わねばな。」

「まったくよ。言葉だけでは足りないくらいだわ!」

セティアは、相手が誰であろうと、相変わらず食って掛かるのであった。

「まあ、そういうな。代わりにひとつ忠告してやろう。ゲートが閉じられた今の世界を、お主らはどう思う?その意味を一度考えてみるとよかろう。」

そう言うと、アヌビスは、また以前のようにスーっと消えてしまうのであった。仕方なく、ピラミッドの入り口まで戻る一同。外はちょうど夜が明けようとしていた。トーマがようやく目を覚まし、皆に声をかけた。

「おう、お前さんたち、ずいぶん早起きだな!」

「まったく、呑気なんだから……」

セティアが呆れたといった顔をした。

煉獄の使徒のいなくなった砂漠に、新たな朝が訪れた。

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